全ての終わりと新たな始まり


その死が、厳かに告げられた。


神殿の奥深く、白の調度品で統一された一室。その部屋のベッドに、かの人は横たわっていた。
聖女メヒティルト、またの名をベルンハルデの聖女。

聖女と言っても、もう老婆である。ようやくそのあまりにも重い宿命から開放された彼女の死顔は、微笑んでいるようにすら見えた。


侍医を仰せつかっている女官がその死を告げてから、いったいどれくらいの時が経っただろうか。ベッドの傍らに仕えている大勢の女官の内の1人、女官長イネズがその長い沈黙を破った。

「神王様と各国に至急声明を。……聖女メヒティルト様がお隠れ遊ばしたと……」



|Back |Novel menu | Next |
inserted by FC2 system